2023年8月4日
(内容)
- すなわち、死んだ者は罪から解放されている。
(黙想)
- 原文では gar がある。「なぜなら」「すなわち」「それゆえ」を意味する接続詞である。ここでは文脈から、「すなわち」がよいのではないかと思う。
- 6章は「恵みが増すように罪の中にとどまろう」と語る人がいるかも知れないと考えたパウロが、キリスト者は罪の中にとどまることができないと語る。2節で「罪に対して死んだ私たち」とある。この「罪に対して死んだ」をどう理解するのか。
- ある人は、罪と絶縁した、罪の支配と働きとから決定的に自由にされたと語る。別な人は、罪に対する死は、特徴的なクリスチャン人生の開始を示し、罪の支配の終わりであり、恵みの支配の開始(5:21)であると語る。
- 「死んだ」は過去の一回限りの出来事を示す不定過去という動詞が用いられている。その過去とは私たちが洗礼を受け、キリスト者になった時である。
- ロイドジョンズも、罪に対して死んだとは、私たちが罪の支配下から出て、恵みの支配下に移ったことを意味すると解釈する。恵みの支配下に移った、これが大切である。恵みの支配下に移った以上、罪の中にとどまることはできない。
- 3節で、罪に対して死んだのは、バプテスマを受けた時であること、そしてバプテスマを受けることは、キリストに結びつけられることであると説明される。私たちは洗礼を受け、教会のメンバーになる。洗礼はクリスチャンになる儀式でもある。しかし洗礼にはキリストに結ばれるという霊的な意味がある。第一にキリスト者はキリストの死に結ばれる。このことはとてつもなく大切である。
- 4節では、キリストが復活したように、私たちも新しい命に生きる者とされると説明がなされる。バプテスマを受けてキリストに結ばれるとは、キリストの死と復活に結ばれることを意味する。私たちはキリストに結ばれ死んだ。6節では、私たちの古い人がキリストと共に十字架につけられたとある。つまり死んだのである。2節の罪に対して死んだは、キリスト者が罪の支配領域から恵みの支配領域に移ったことを意味する。古い人が死んだは、これもキリスト者が罪の支配領域から、恵みの支配領域に移ったと語ると解釈する。
- 古い人が死ぬ、これはキリストの死に結ばれた結果である。それは何のためかというと、罪に支配された体が無力化され、罪の奴隷とならないためとされる。
- 古い人が死ぬ、それはキリスト者が罪の支配領域から出て、恵みの支配領域に移されたことを意味する。恵みの支配領域に移されると何が起きるのか。「罪のからだが無力化される」のである。新共同訳聖書は、「罪に支配された体が滅ぼされ」とあるが、「無力化される」の方が訳としてはよい。滅ばされてなくなったわけではない。
- 人間は体を持つ。心と肉体を持つ。心と肉体は色々な欲を持ち、人は罪へと誘われる。世の人は自分のプライドと肉欲を優先する。そのために罪を犯す。進んで罪を犯すこともある。
- 古い人が死に、恵みの支配下に移されたキリスト者にとって、「罪に支配された体は無力化された」。つまり、罪の働きかけに勝つことができる。言い換えるとキリスト者は神のみ心に従いたいとの思いが与えられており、この思いが、罪の働きかけに勝つことができる。
- そこで問題は、「私」がどのように生きようとするかである。罪の誘いにゆだねるのか、それを拒むのか。この意志決定は、「私」がする。み心に従う意志決定をする時、それを実現できるように神の助けを祈り求める。そして神の助けが与えられる。み心に従う歩みができる。罪に打ち勝つ歩みができる。
- こうして恵みの支配下にある者は、罪の奴隷ではなくなる。
- 死んだ者は罪から解放されている。これは大いなるメッセージである。このことを知っているクリスチャンは少ないかも知れない。これは1節から語られてきたことの結論と言うことができる。罪から解放されている者は罪の中にとどまることはできない。
- 罪の中にとどまり罪の赦しという恵みを繰り返し味わうことができるかも知れない。しかし、罪から解放され、罪に打ち勝つ恵みの方がはるかに素晴らしく、御心に適っている。
(聖書に聞く)
☆神が私たちに求める生き方
- <教え>私たちは罪に対して死に、罪から解放されている。
(神の導き)
☆祈り
- ロマ書の6章は、本当に大切な箇所です。それだけに、きちんと理解することが大切です。私はロイドジョンズ牧師の本でロマ書を学んでいますが、他の人たちがこの箇所を解釈する時、どのような言葉を使っているのか、知りたいと思いました。真理を表現する時、あいまいな言葉、表現はよくないと思います。
- レオンモリス、松木治三郎の注解書を読んで、整理したいと思います。またロマ書6章をギリシャ語で読み訳してみたいと思います。導いてください。
☆与えられた導き
- 二人のロマ書の注解書を読む。使う用語に注意して読む。